自分に対しても他人に対しても、すべてを問うことこそ、人間のすばらしさの最たるものである。
-ソクラテス(古代ギリシャの哲学者)
- 人生って何が正しいか分からない。何度も考えてみたけど答えが出ない。
- どうしたらいいか分からないし、深く考えるのが苦手でついつい先延ばししてしまう。
人生に悩みはつきものです。
何か悩みや問題がある時、皆さんはどうやってそれを解決していますか?
あるいは、誰かから悩み事の相談を受けた時、どうしていますか?
重要な事ほど、簡単に判断できない。
ちゃんと深く考えなきゃいけないのは分かっているけど、どうやって考えればいいか分からない、一向に答えが出そうもない。
- どうやって考えれば、答えが見つかるんだろうか?
そう思うことはありませんか?
そんな時には「ソクラテス式問答法」というテクニックが使えるかもしれません。
どんなテクニックなのでしょうか?早速見ていきましょう!
ちなみに、「ソクラテス式問答法」についてより詳しく知りたい方は以下の本を読んでみてください!
「問うこと」の重要性を知りたい方はこちらの本もオススメです。
ソクラテス式問答法とは?
「ソクラテス式問答法」は、古代ギリシャの哲学者であるソクラテスが考案したクリティカル・シンキングのテクニックです。
ビジネスや教育など幅広い分野で活用されているので、どこかで聞いたことがあるという人もいるのではないでしょうか。
「ソクラテス式問答法」では、相手への問いかけにより、思考や知識を引き出したり、深めていくことが出来ます。
例えば、「今の仕事を続けていいのか分からない」という悩みを持った人がいたときは、こんな感じで疑問を投げかけていきます。
- 今の仕事について、何が気になっていますか?
- 仕事をしているときには、どのような考えが頭に浮かびますか?
- 仕事をしていて充実感を感じるのはどんな瞬間ですか?どんな仕事であれば、その瞬間をもっと増やせると思いますか?
こちらの意見を伝えるのではなく、質問を繰り返すことで自然と答えに気づいてもらえるというのがポイント。
相手を説得しようとすると上手くいかないことも多いんですが、この方法なら答えを見つけるのは相手自身なので、自然と良い行動に繋がりやすいのではないかと思います。
実際、カウンセリングの分野でもソクラテス式問答法が活用されるようになってきているみたいですね。
割と手軽に考えを深めたり、新たな視点に気づくことが出来るので、僕自身も愛用しています(まだ使いこなせてはいないですが笑)。
「ソクラテス式問答法」で自分へ問いかけるとメンタルが良くなるかも
また、ソクラテス式問答法には「自分自身に使うことでネガティブな気持ちが和らぐかも!」ってデータがあったりします。
これを示したのがオハイオ州立大学の実験。(R)
研究チームは、「離婚せいで私の人生は大失敗だ、、」と考えている参加者55名を集め、次のような質問を自分に投げかけるように指示しました。
- 離婚した人はみんな、人生に失敗したと言えるだろうか?
- 知り合いの中に、離婚しても幸福に暮らしている人はいないだろうか?
- 自分の人生で何かに成功した体験はないだろうか?それは、私の人生が大失敗ではない証拠になるのではないだろうか?
このトレーニングを16週間続けた結果、参加者の抑うつ度が大きく改善したそうです。
小規模な実験ではありますが、自分への問いかけをするくらいで手軽だしデメリットもないので、十分試してみる価値はあるでしょう。
こんな感じで、嫌なことがあった時はソクラテス式問答法を使って自分への問いかけをしてみるといいかもしれませんね。
「ソクラテス式問答法」6パターンの質問
ここからは「ソクラテス式問答法」の具体的な6パターンの質問をご紹介していきます。
それぞれのパターンごとに目的を記載していますので、場面に合わせて使い分けるようしてみてください!
具体的な質問はあくまで一例なので、全てこの通りに使う必要はなく、しっくり来るものを色々試しながらやってみてくださいね。
①明確化の質問
- 目的:曖昧なものを明確化・具体化する
- 〇〇とはどのような意味でしょうか?
- 別の方法で説明するとどうなりますか?
- その本質やメインの問題は何でしょうか?
- 何か具体例はありますか?
- 問題の解決のために役に立ったもの、立たなかったものには具体的にどのようなものがありますか?
②前提調査の質問
- 目的:前提や仮定を深掘りする
- この問題はどの点が重要でしょうか?また、何か他の重要な問題と関係があるのでしょうか?
- この問題を解決するのは簡単でしょうか?難しいのでしょうか?また、その理由は何でしょうか?
- この問題の前提は何でしょうか?何か見落としている点はないでしょうか?
- なぜそれが出来ないと考えられるのでしょうか?その前提には何がありますか?
- 〇〇を前提にしているようですが、それは正しいですか?
- 今の答えの代わりにどんなことを仮定出来ますか?家庭を〇〇に変えた場合、その答えはどのように変わりますか?
③エビデンスの質問
- 目的:問題や解決策にどれくらいの証拠があるかを探る(科学的なエビデンスだけでなはく、考えに至った動機やエピソードなども含める)
- 何か証拠がありますか?実例には何がありますか?
- 〇〇を事実と考えた理由は何でしょうか?
- どのような理屈でこの結論に至ったのですか?
- 証拠が本当かどうかを疑う理由はありますか?
- この分野で成功している人たちの共通点や、それが成り立つ理由や原因は何でしょうか?
④視点の質問
- 目的:凝り固まった考えから視点を変えて良いアイデアを生み出す
- その問題について別の見方はないでしょうか?何か代替案は考えられますか?
- どのようなメリットがあり、なぜ必要なのでしょうか?また、そのメリットを受けるのは誰ですか?
- 長所と短所をそれぞれ挙げられますか?
- 他の人や他のグループの人たちは、この意見にどう反応すると思いますか?そう思うのはなぜですか?
- 〇〇と△△のアイデアはどこが似ていますか、また、どこが違いますか?
⑤影響と結果の質問
- 目的:結論や解決策の精度を確認し、優先順位をつける等する
- 〇〇は△△にどのような影響を及ぼすでしょうか?
- 〇〇は以前に学んだこととどのように結びついているのでしょうか?
- 〇〇はどんな効果があると思いますか?
- 〇〇が起こる確率はどれくらいでしょうか?また、その結果として何にどれくらいの影響がありますか?
- もし〇〇が起こった場合、他にどんなことが起きるでしょうか?
⑥疑問の質問
目的:「質問の答えが思いつかない」といった状態から抜け出す
- この疑問のポイントは何でしょうか?なぜこの疑問は重要なのでしょうか?
- この疑問についてもっといい質問はできないだろうか?
- なぜ自分はこの疑問を持ったのだろうか?
- この意見は、他の人や事に左右されたものでしょうか?
- 〇〇を日常にどのように適用できるでしょうか?
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