新たな仕事を呼び込むのは「ゆるいつながり」か?「強いつながり」か?

価値観/キャリア

仕事には人脈が重要だ!という話は、社会人であれば誰もが聞いたことがある話なんじゃないかと思います。

人脈が新たな仕事を呼び込むというのはよく言われている話で、例えば『転職の思考法』とかでも、「特に40代以上になると人脈から新たな仕事が生まれることが多くなるので、より人脈が重要になる」みたいなことが書かれていたりします。

ここで疑問になってくるのは、

  • 人脈が重要とは言うが、一体どんな人脈を築いたらいいんだろうか?

というところなんじゃないかと思います。

「どんな人脈がいいのか」っていうのはいろんな考えがあると思いますが、この記事では「人脈の中での繋がりの強さ」という点でまとめていきたいと思います。

スポンサーリンク

「ゆるいつながり」と「強いつながり」

つながりの強さというところで言えば、感覚的には「強い関係性のあるコネクションが重要なんじゃないか?」と思うのではないでしょうか。

自分が仕事を頼む立場だったとして考える時も、信頼性が高かったり、好感度のより高い人に対して仕事を頼みたいよなーとか思うところだったり。

イメージ的には、「強いつながり」を築くのが重要な気がします。

一方で、「ゆるい繋がりが新たな仕事を生む」っていう話があるのはご存知ですか?

例えば、『人生は20代で決まる』で、「ゆるいつながり」の重要性が語られています。

その一部を抜粋すると、

ゆるいつながりはあまりに自分と違うように感じられるため、親密になるには文字どおり距離が離れすぎている場合もあります。

しかし、そこがポイントなのです。

なぜなら、ゆるいつながりの人間は、似通っていて排他的な集団内の人物が持っていない新鮮な何かへと導いてくれたり、材料を提供してくれるからです。

出典:『人生は20代で決まる』

ここでいう「ゆるいつながり」というのは、「たまにしか会わない人や滅多に会わない人とのつながり」のことです。

家族や友人、会社の同僚のようによく顔を合わせる人ではなくて、「お互いに知ってはいるんだけど会うことはほとんどない人」こそが、新たな情報やチャンスをもたらしてくれる、という訳ですね。

身近なところでは、「異業種交流会」なんかはまさにこの「ゆるいつながり」を狙ったものなのではないでしょうか。

そうなってくると、「ゆるいつながり」も重要なものに思えてきます。

果たして、より重要なのはどっちなんでしょうか?

なぜ「ゆるいつながり」が有効だと考えられているのか?

「ゆるいつながり」が有効だと考えられているのは、社会学者でスタンフォード大学教授のマーク・グラノヴェッターが1973年に発表した、「弱い紐帯の強み」という論文に基づいています。

具体的な内容は以下の記事にもありますが、

弱い紐帯の強みとは――意味と例、マーク・グラノヴェッターの研究概要をわかりやすく - 『日本の人事部』
弱い紐帯の強みとは、米国の社会学者マーク・グラノヴェッターが発表した社会的ネットワークに関する仮説のこと。新規性の高い価値ある情報は、ちょっとした知り合いなど社会的つながりが弱い人々(弱い紐帯)からもたらされる可能性が高いと論じています。

ざっくり言えば、

  • グラノヴェッターは過去5年以内に転職したビジネスマンに「次の仕事を探すのに最も役に立った情報源は何か?」というインタビューを行った
  • そのうち、会う頻度の高い人からの情報で仕事を得ていたのは16%だった
  • 残りの84%は、まれにしか会わない「弱いつながり」からの情報をもとに就職していた!

というもの。

4分の3以上の人は「ゆるいつながり」をもとに新たな仕事を得ることが出来ていたという事実がわかったこの研究結果が有名になり、「ゆるいつながりこそが重要だ!」という話が広まっていったようです。

新たな仕事を探すには「強いつながり」の方が重要

そうなってくると「ゆるいつながりこそが重要」という結論になってきそうですが、ここで一つ問題点があります。

それは、「マーク・グラノヴェッターの研究は1970年代初期に行ったものなので、現在の求職市場には必ずしも当てはまらないんじゃないか?」という点です。

なんせ現代とは違ってスマホ一台で手軽に情報を得るなんてことはできなかった時代なので、事情が異なるんじゃないか?ということですね。

これについては、鈴木裕さんの著書『科学的な適職』で結論が出されています。

科学的な適職』でも紹介されている代表的な研究として、人類学者のイラナ・ガーションが2014年に行った調査があります。

内容をざっくりまとめると、

  • ビジネスマンから380の転職事例を集め、「弱いつながり」は現代でも重要なのかを再検証した
  • 結果、「弱いつながり」が職探しに役立ったケースは全体の17%だった
  • 転職に成功した人の60%は、親友や同僚などの「強いつながり」の方が役に立ったと回答した

という、マーク・グラノヴェッターの研究とは真逆の結果になっていました。

現代の職探しにおいては、「強いつながり」の方が重要なんじゃないか、ということです。

まとめ

そんなところで、新たな仕事をもたらす人脈は「ゆるいつながり」「強いつながり」のどちらなのか?というところをまとめていきました。

結論、新たな仕事に繋がるのは「強いつながり」だった、ということでした。

まあ確かに、特に日本だと「飲ミニケーション」文化があるように、強いつながりにこそ新しいチャンスが舞い込んでくるイメージはありますよね。

僕みたいな内向的な人間には厄介や時代だなーなんて思いますが。。。(笑)

一方で、弱いつながりのメリットは、上にも書いたように「自分が知らない、新鮮な情報を持ち込んでくれること」にあるんじゃないでしょうか

価値観や考え方も、同じ人と一緒にいるばかりではどんどん凝り固まっていくので、それを打破してくれるのは「弱いつながり」なんじゃないかと。

思わぬ考え方に気づいたり、自分が知らない世界を知ることがが出来たりっているのも、それはそれで重要ですからね。

なので、この記事で取り上げたような「新たな仕事をもたらす」可能性が高いのは「強いつながり」かもしれませんが、トータル考えれば「どっちも大事なんじゃないか?」ということなんじゃないでしょうか。

まあ当たり前の結論なのかもしれませんが、「ゆるいつながり」「強いつながり」のどちらも大事にした上で、臨機応変に人に頼っていくのがいいんじゃないかと思います。

そんなところで。

※今回の記事で紹介した本はこちら↓

コメント

タイトルとURLをコピーしました