以前の記事で「色んな種類のルールがあるんで使い分けていけると良いですよね」みたいなことを書いていきました。
そのうちの一つ、「停止ルール」を、この記事で少し掘り下げていきたいと思います。
一言で言えば「あらかじめ引き際を決めておく」のが停止ルールなんですが、個人的に結構重要なんじゃないかと思っている次第です。
というのも、「引き際を決めておかない」ことでどんどん底なし沼に沈み込んでしまうような状況が、どんな人にも起こりうるからです。
例えば以下のようなものです。
- 今の会社がブラック企業だと分かりきっているのに、転職活動に踏み切れずに年数だけを重ねていく
- ギャンブルや投資で無駄にお金を注ぎ込み過ぎてしまい、損失が膨らみまくる
- 遊び人やお金目的のような、自分を弄ぶだけの人とダラダラと付き合い続けてしまう
こういうのって「自分は大丈夫!そんな状況にはなるわけがない!」とかって思ったりしませんか?
しかし人間には以下のような心理があるので、こういったことは誰にでも起こりうるものです。
- 「自分の過去の決断が間違いだったと認めたくない、あるいは正しかったことを証明したい」
- 「今まで使ってきたお金や時間がもったいない」
- 「ここで別のことを始めてしまったら、今までやってきたことが無駄になんじゃないか、、、」
前にも書いたように人間は損失を嫌う傾向が強いので、つぎ込む時間や労力が大きくなればなるほど、上のような考えから抜け出せなくなってしまうんですね。
そういうこともあり、特に変化の激しい時代において、状況を考え直すことの重要性を組織心理学者のアダム・グラントさんなんかも言っていたり(※リンク先英語のみです。日本語版の動画が見つからなかったため、、、すみません)。
どこかで一旦立ち止まり、その時の状況や自分の立ち位置、「自分はどうしたいのか」などといった自分の感情を考え直し、方向性を見直す。
そうすることで、泥沼から抜けだせたり、より良い状況に変えていくことが出来るんじゃないかと。
そういうわけで、「考え直してより良い方向に向きを変える」ための停止ルールの使い方の例をご紹介します。
泥沼から抜け出せなくなることを防ぐ「停止ルール」
上にも書いたように、泥沼から抜け出すためには「状況や自分の立ち位置や感情を考え直し、進むべき方向性を必要に応じて変えていく」ことが必要です。
ただ「考え直していく」と言うだけなら簡単なのですが、実際はその機会を逃してしまって結局ダラダラ同じ状況が続く、なんてことが起こりうるもので。
だからこそ「停止ルール」によってあらかじめ引き際を決めて身を引いたり、もしくは「停止ルール」のタイミングで状況や自分の感情を考え直してみるっていうのが良いんじゃないかと思っています。
具体的には、以下のように使っていきます。
- 3ヶ月間出来るだけ上司や同僚に相談をして、それでも職場環境が良くならなければ転職活動をする
- 半年以内に彼氏/彼女が問題行動を改めてくれなければ別れる
こちらの記事で触れた「タイミングルール」を合わせて、一定の見極め期間を設けて、期限が来たタイミング(場合によっては期限を待たず)で見直していくようなイメージです。
キャリアの分岐点でも「停止ルール」
キャリアの分岐点でも、この「停止ルール」を使うことが出来ます。
例えば転職活動・就職活動で、就職先を選択する場合。
こうした状況で「停止ルール」が必要になってくるのは、「その会社が自分にとってより良いものになるのか」は、事前段階ではどこまで行ってもわからないからです。
いざ蓋を開けてみたら就職先は最悪の職場だった、なんてことも起こりうるわけで。
ただし「就職先がどんな会社なのか」はわからなくても、「最悪なケースにはどのようなものがあるか」ということであれば想像出来ます。
- サービス残業やパワハラが当たり前の職場だった
- なんのスキルも身につかないし、忙し過ぎて自分の勉強も出来ない
- 自分のやりたい仕事とは全く違うものだった
例えば上のようなパターンです。
なので、上のような想定される最悪のパターンが判明する、ということを「停止ルール」として設定していきます。
- 1年間働いてみて、もし「残業が多すぎる」or「スキルの身につかない仕事ばかり」or「やりたいことではない」だったら転職する
みたいに、予め見極め期間と引き上げる条件を決めておく感じです。
また、この時に「停止ルール」を発動することに備えて、転職時の選択肢を増やす」ということもあらかじめ出来ると良いのかなと思います。
例えば以下のようなイメージです。
- やりたいことは〇〇なので、「××」のスキルが必要だ→働きながら関連スキルや資格の勉強をしておく
- 年収が高い方が転職先への給与交渉がしやすい→少しでも年収の高い企業を選ぶようにしておく
こうしていつでも「引き上げる」というカードを切れる準備を整えておくことで、安全にリスクを取ることができるので、思い切った転職をしたりすることができるようになるんじゃないかと思います。
いずれにしても
- 「どんなリスクが想定されて、そこに対してどのように対処をするのか」ということをあらかじめ考えながら選択をする
- そしてその選択をするタイミングを「停止ルール」によって定めておく
ということが必要なんじゃないかと思います。
「やり続けること」は重要だが、「どんな時も絶対にあきらめない」のは正しくない
「何かをやり続けること」というのは色んなところで言われているように思います。
私たちの最大の弱点は諦めることにある。
ートーマス・エジソンー
成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ。
例えばこれはトーマス・エジソンの言葉です。
確かに続けていれば何かしらの成功や、成功につながるような良い結果になるのに、途中でやめてしまったらそれは勿体無いことですよね。
ただいついかなる時も「絶対にあきらめない」というのは、やっぱり違うんじゃないかと。
明らかに見込みのない状況で、そこに居座ってしまうというのは、その道以外のあらゆる可能性を自ら閉してしまっているわけで。
同じもがいている状況でも、陸地に向かっているのか底なし沼に沈んでいっているのか、ということの間にはえらい違いがあるので。
そういうわけで、何かを始めたり選択する時には「停止ルールであらかじめ引き際を決めておく」ようにするのが良いんじゃないかというお話でした。
色んなルールについて学べる本↓
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