『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる』って本を読んだのですが、個人的にめちゃめちゃ面白い本でした。
何らかの分野で上達する事を目指すなら、一見すると専門特化して最短距離を取るのが良いように思います。
けど必ずしもそうではなく、「広く幅広く学ぶ事にもメリットがあるんじゃないか?というかむしろそっちの方がいいんじゃないか?」みたいな内容で、色々と参考になりました。
一例として「一流のアスリートになる道のり」の話が紹介されていたので、その辺り一部抜粋してまとめてみたいと思います。
アスリートが一流になるまでの道のり
一流アスリートは、どのような道のりでその競技のトップに昇り詰めていくのでしょうか?
何となく、「小さい頃から多くの時間をその競技の練習に費やしてきたに違いない」という感じに思いますよね。
例えば元メジャーリーガーのイチロー選手なんかはそのパターンで、
- 3歳から野球を始め、7歳までは1年の半分くらいまでを野球の練習に費やしていた
- 小学3年生から6年生の間は、、1年365日のうち、360日はかなりの量の練習をしていた
なんて話があります。
幼い頃から野球漬けで、まさに努力で上に昇り詰めたような感じですね。
改めて凄いなと思います。
特に日本で育った一流アスリートは「小さい頃から〇〇一筋」のようなパターンが多いように思います。
ただ一方で、海外の一流アスリートは、必ずしもそうではない人もいますよね。
例えば、
- サッカーのドイツ代表選手の多くは、少なくとも22歳の頃まではアマチュア程度の緩い枠組みの中でサッカーをやっていた
- テニスのロジャーフェデラーは、幼い頃から様々なスポーツを経験しており、特別英才教育などは受けてこなかった。
- フェデラーがテニスに専念した頃には、既にフィジカルトレーナーやスポーツ心理学を付けて長年の練習を積んできた同世代が多くいた
アメリカのアスリートなんかでもよく、複数の競技をやってそのどの競技でもドラフト候補になっている、みたいな人もいますね。
「一流は何をやっても一流」とも言えそうですが、もし「複数の競技をやっている」こと自体に意味があるとしたらどうでしょうか?
アスリートと「意識的な練習」
「意識的な練習」とは?
「意識的な練習」は、以下の3つを満たした練習方法のことです。
- もっとも良いやり方を明確に教える
- インストラクターが個別に指導し、やってみた結果に対してすぐに有益なフィードバックを与える
- 同じことを何度も繰り返して練習する
この「意識的な練習」は元ジャーナリストのマルコム・グラッドウェルさんによって広められた、「1万時間の法則」の中心的な考え方になっています。
- 「どんな分野でも一流になるには、1万時間の努力が必要だ」
- 「その努力は、意識的な練習によって行われる必要がある」
というようなところです。
「意味のある努力を、長い時間積み上げることで一流に上り詰める」という、王道の成功パターンのような感じですね。
一流アスリートと呼ばれるような人たちは、やはりこの「意識的な練習」を積んできているのでしょうか?
一流アスリートは「意識的な練習」に時間を費やしているのか?
「RANGE」の中で紹介されていた研究で、アスリートと「意識的な練習」について調べたものが紹介されています。
結果わかったことは、以下のようなことでした。
- 一流と呼ばれるスポーツ選手は、そうでない選手と比べてより専門的な「意識的な練習」に多くの時間を費やしている
- 一方で、子供の頃からの練習を分析すると、初期の頃は他の選手よりも「意識的な練習」に費やす時間は少なかった!
ピーク時には「意識的な練習」に時間を費やしているのは間違いないが、幼い頃はむしろ逆だったようです。
これは結構驚きなんではないでしょうか。
一流アスリートが「意識的な練習」の代わりにやっていた事
一流アスリートが小さい頃は「意識的な練習」に時間を費やしていないのだとすれば、その間何をしていたのでしょうか?
どうやらエリート選手ほど、「体験期間」と呼ばれる時期を経ているようです。
色々なスポーツを「体験」すること、その中から本当に自分に合ったものを選んでいくことが出来たのではないか?ということです。
上でも少し触れたフェデラーは、幼い頃はバスケやサッカー、バドミントンなど、かなりの幅広いスポーツを「体験」していたそうです(恐らく本人や両親に「体験している」意識はなかったかもしれませんが、、結果的に)。
これはスポーツに限らずで、例えば同書の中で、
- ゆっくり専門を決めて仕事に就いた人は、早めに専門を絞った人に比べて就職後しばらくは年収が低いが、やがてその差は埋まる
みたいなものも紹介されていました。
これは、専門を絞る時期を遅らせる分、自分のスキルや特性に合った仕事を見つける猶予が生まれるが大きいのではないかとの事。
こうしてみると、特に若い内は色んな仕事をやってみたり、転職して経験の幅を増やしていくのもいいのかもしれないなと思います。
ちなみにこの話はTEDにも動画が上がっているので、よかったらこちらも見てみてください(フル英語版しかないのでアレですが。。。)。
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