なんか広告のキャッチコピーみたいなタイトルですね。
「迷ったら自分の直感を信じろ!」とか「自分の第1感に基づいた判断は意外と正しいものだ」みたいな話があるじゃないですか。
「第1感」については、グラッドウェルさんの著書「第1感」などがあります。
その中では、「人間には複雑な情報を素早く処理する能力があると考えられており、特に経験を積んだ人が判断する場合、最初に閃いたもので妥当な判断を下すことが出来る」みたいなことが感じに書いてありました。
そういえば受験の頃とか就職の時とか、「最後は自分の直感を信じなさい」みたいに言われた事とか思い出すなー。
確かにメンタル的には安心感のあるアドバイスだとは感じますが、実際のところどれだけ役に立つのかな?と思ったのでまとめていきます。
「直感が役に立つ」場面にはある条件があった!
まず結論から言うと、「ある特定の条件下にある場合のみ、直感は役に立つ」という事です。
その条件とは、以下の2つを満たしている状況にいる時になります。
- 自分自身が、その分野で十分な経験を積んでいる
- 結果がある程度予測可能である(例えば医者が患者に判断を下す時や、消防士が燃え盛る建物に入るかどうかを決める時等)
「経験豊富で」かつ「ある程度答えが見える(見えてはいなくとも何かしら答えがあるような)状況」にある時のみ、直感は役に立つようです。
例えば、消防隊の指揮官の判断を例に取ると、
- 消防隊の指揮官は、判断のうちの約80%を数秒の内に判断している
- また、約95%の確率で、最初に思い浮かんだ対応策を選んでいる
と言うことがわかったそうな。
一瞬の判断が生死を分けるような職業なので、直感に基づいて瞬時に判断をしている訳ですね。
改めてすごい職業だなーと思います。
特定条件を満たしていない場面ではどうなる?
もし、上の特定条件を満たしていない場合に直感に頼るとどうなるのでしょうか?
例えば、ノーベル賞を受賞した行動経済学者である、ダニエル・カーネマンが行った実験があります。
実験はイギリス軍で使われているテストを用いて士官候補者の判断の精度を確かめると言うものです。
テストの内容は、例えば「電柱ほどの長さの棒を、壁や地面につけないように使って1.8メートルの壁を乗り越えるにはどうするか」みたいな課題が与えられたようです。
実験によりわかったことは、
- 「経験が豊富な候補生ほど自信をもって判断することが出来たが、判断の精度は当てずっぽうに判断した場合と変わらなかった」
そうです。
経験を積むほど正しい判断ができるようになりそうなものですが、予測可能でないものに対しては、直感的な判断はほとんど役に立たなかったそうです。
カーネマンはこの実験から、
- 「経験に基づく洞察とその結果との間には、全く関係性がない」
- 「経験が能力向上につながるかどうかは、それがどんな分野であるかによる」
と言うことを結論づけたそうです。
経験が役に立つとは限らないんですね、、、
直感に頼らず判断をするには?
経験がない場合はもちろんですが、例え経験を積んでいた分野であったとしても、直感的な判断は役に立つとは限らないようです。
こうなると、直感に頼らずに判断をすることが必要そうだといえそうですが、そのためにはどうすればいいのでしょうか?
これについては、組織心理学者のアダム・グラントが、自身の著作「ORIGINALS」で行っている言葉が参考になります。
変化のスピードはますます加速しているため、私たちの環境はよりいっそう予測不能になっている。
今や、直感は、新しいものごとに対処するヒントとして頼れなくなっており、だからこそ「分析」がより重要になってきている。
(参照:『ORIGINALS』)
事実を直視して、しっかりした「分析」に基づいて判断をする必要がある、と言うことですね。
いやーなんとも難しい(笑)
まあどうしても迷った時は、「最後は直感にかける!」やり方はありかなとも思いますが、今回の話を踏まえると直感に頼る癖がついてしまうとまずいような感じですねー。
直感に頼ってしまった方が楽なのでアレですが、ちょっとは冷静な分析が出来るようになりたいなーと思います。
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