幸いにも、1990年代から組織心理学やポジティブ心理学などの分野で「キャリア選択」に関する研究が進み、精度の高い答えが提示されています。
あなたを幸せにする仕事とはどのようなものか?
私たちが人生で正しい選択をするためには何をすべきなのか?
こういった疑問について、ある程度まで定量的な回答が出てきたのです。
現代で適職を探したいなら、偉大な先人たちが磨き上げた知見を活かさない手はないでしょう。
出典:『科学的な適職』
閲覧ありがとうございます!
- 結局自分に向いている仕事って何なのかな。
- 今よりも満足出来る仕事って他にないのかな。
- 仕事選びのノウハウは色々聞くけど、沢山ありすぎて何が正しいのかわからない。
社会人になる前も社会人になってからも、自分は結局何がしたいのか、今の仕事で本当にいいのか、仕事に対する悩みは尽きないですよね。
多くの人が悩んでいるからこそ、それを解決しようと色々な情報が出回り、逆に何を信じればいいのかわからなくなる。
そんな中で、世の中ではキャリア選択に関する研究が繰り返され、ある程度データに裏付けられた結論が見えるようになってきています。
そういった研究の結果をまとめ、人々が「正しいキャリアを選び取る確率を上げ、最終的に人生の後悔を限界まで減らす事」をゴールとして書かれた本がこの『この科学的な適職』です。
この記事では内容の一部分を解説していきます!
なお、ここでいう「適職」とは以下を定義しています。
ここで言う「適職」の定義とは、
◉あなたの幸福が最大化される仕事
を意味します。
出典:『科学的な適職』
このブログ記事では本の内容の一部のみをご紹介しているので、ご興味のある方は是非本書を読んでみてください!
この本は以下のような人におすすめです!
- 自分がどんな仕事に合っているかを知りたい!
- 今の仕事が自分に合っているか不安がある
- 仕事の幸福度・満足度を上げたい!
また、今後も以下のような人に向けて本要約の記事を上げていきます!
- どんな内容の本なのか簡単に知りたい
- 内容を見てから買うかどうか決めたい
- 何か面白そうな本がないか探している
著者の紹介
著者の鈴木裕さんは、慶應大学を卒業後、出版社勤務を経て独立。
現在は10万本以上の科学論文の読破と600人以上の学者や専門医のインタビューを重ねながら、サイエンスライターとして書籍や雑誌の執筆を手掛けています。
16歳の頃から年間5,000本もの科学論文を読んでいることから、「日本一の文献オタク」を自称されているほどです。
著書には今回紹介する『科学的な適職』以外にも、『YOUR TIME』『最高の体調』『ヤバい集中力』『超ストレス解消法』『無(最高の状態)』など、健康・心理・科学に関する知見に基づいた書籍を多数執筆されています。
そんな数々の科学的知見のある鈴木さんによって、正しいキャリア選択をするためのヒントとして書かれた『科学的な適職』。
次からこの本の中でも特に個人的に面白いと思った部分を中心に、ざっくり解説していきます!
ちなみに『YOUR TIME』『無(最高の状態)』『最高の体調』については当ブログでも紹介しているので、良かったらこちらも見てみてください!
本の概要
まずは本の概要を簡単に解説していきます。
キャリア選択の正解を導く方法「AWAKE」とは
この本では、キャリア選択の正解を導く方法として、「AWAKE」というステップで解説されています。
- 幻想から覚める(Access the tsuth)
- 職業選択で陥りがちな幻想から目を覚ます
- 未来を広げる(Widen your future)
- 「人間が本当に幸福を感じる仕事」について学び、視野を広げる
- 悪を取り除く(Avoid evil)
- 「人間を不幸に追いやる職場の条件」と、それを避ける方法を考えていく
- 歪みに気づく(Keep human bais out)
- 脳の「バグ」を探し出し、意思決定が間違った方向に進んでいないかどうかをチェックする
- やりがいを再構築する(Engage in your work)
- 「あなたの仕事選びはどこまで正しかったのか?」「仕事にやりがいを持つにはどうすればいいのか?」といったポイントを押さえ、幸福度を上げる技法を学んでいく
この5つのステップの頭文字を取って「AWAKE(目覚め)」です。
「目覚め」と聞くと何となく怪しい感じがしますが、ちゃんとデータに裏付けられた内容が語られています!(笑)
間違った仕事の選び方を避け、正しい仕事の選び方をする
ステップ1で間違った仕事の選び方、続いてステップ2で仕事の幸福度を上げてくれる項目を知ることが、まずは最初のステップになります。
つまり、間違った仕事の選び方を避け、正しい仕事の選び方をする事が第一歩になります。
仕事選びの7つの大罪
ステップ1「幻想から目覚める」にあたる内容です。
世間でよく言われる「仕事の選び方」に対して、研究の結果「仕事における幸福度の向上」には直結しないと結論付けられた項目です。
具体的には、以下の項目です。
- 好きを仕事にする
- 好きな事を仕事にしても、幸福度が上がるのは最初だけ。「仕事を続けているうちに好きになる」考えの方が、1年〜5年のある程度長いスパンでは幸福度・年収などが上がる傾向がある。
- 給料の多さで選ぶ
- 給料の多さは幸福度や仕事の満足度には比例しない。年収800万までは幸福度がアップする傾向があるが、それ以上は幸福度が横ばいになる傾向がある。
- 業界や職種で選ぶ
- 専門家であっても有望な業界は完全には予測出来ず、また人間は自分個人の将来的な興味を予測する事ができない。
- 仕事の楽さで選ぶ
- ストレスが体に悪いのは確実だが、一方で楽すぎる仕事も幸福度を大きく下げる。ほどほどのストレスとリラックスのバランスが重要。
- 性格テストで選ぶ
- 世の中の大半の性格テストには有効性を裏付けるデータがない。
- 直感で選ぶ
- ほとんどの人生の選択においては、論理的に考える人の方が人生の満足度が高く、ストレスも低い。
- 適正に合った仕事を求める
- 「強み」を活かす事で幸せなビジネスライフを送れるかどうかは、周囲の人間との比較などの「変数」に左右されてしまうため、「強み」だけを頼りにするのは得策ではない。
いかがでしょうか。
どの内容も、仕事の選び方として一度は聞いたことのある内容なのではないでしょうか。
世の中で言われている事に惑わされず、間違った選び方をしない事が重要です。
- 「好きを仕事にする」「給料の多さで選ぶ」「業界や業種で選ぶ」など、一般的な仕事の選び方は、科学的に間違っている言われるものもある。
- 世の中で言われることに惑わされず、正しい選び方をすることが重要。
では、どんな基準で仕事を選んでいけばいいのでしょうか?
正しい仕事選びとは?ー仕事選びの7つの徳目ー
ステップ2の「未来を広げる」にあたる内容です。
研究の結果、「これらの要素を満たす事で仕事における幸福度が高まる」と結論付けられたものになります。
具体的には、以下の項目です。
- 自由
- 労働時間や仕事のペースに対して自分に裁量があると感じられるほど、幸福度が上がる。
- 達成
- 人間は仕事が少しでも前に進んでいると感じる時、モチベーションが最も高まる。
- 焦点
- 焦点タイプにあった働き方をした方が能力を発揮しやすく、仕事の満足度を高まる。※次項で詳しく解説していきます。
- 明確
- 日々のタスクや仕事の目的、評価等が明確であるほど、モチベーションを高く保つことができる。
- 多様
- スキルを幅広く活用できる、業務の内容がバライティに富んでいるという2つの条件を満たす職場ほど、幸福度が高まる。
- 仲間
- 職場に3人以上の友達がいる人は人生の満足度が96%上がる。
- 貢献
- 社会への貢献や他者への親切によって、「自尊心」「親密感」「自律性」といった人間の欲求が満たされる。
逆に上記が満たせていない場合は、幸福度が下がるというものでもあります。
「自由」「仲間」「貢献」なんかは分かりやすいですかね。
この中でも3番目の「焦点」が個人的に面白いなと思ったので、次から深堀りしていきます!
数少ない適職探しに役立つ性格テスト「制御焦点」とは
概要
上の「仕事選びの7つの大罪」にもある通り、世の中大半の性格テストは、有効性を裏付けるデータがないとされていますが、「制御焦点」は数少ない適職を探す上で役に立つと認められたものになります。
コロンビア大学などの研究で、仕事におけるパフォーマンスアップの効果があると認められてきました。
テストの内容としては、16の設問から人間のパーソナリティを「攻撃型」「防御型」の2つの焦点に分けるというものです(以下、これら2つを「焦点タイプ」と呼びます)。
また、このテストの診断結果を理解するにあたり、次の内容がポイントになります。
- どちらか一方の焦点タイプだけではなく、誰もが「攻撃型」「防御型」の2つの要素を持ち合わせている。
- 大抵の人は「攻撃型」「防御型」どちらかの焦点タイプに優位性がある。
- それぞれの焦点タイプに合った仕事が存在し、焦点タイプに合った働き方をする事で、能力を発揮しやすくなり、仕事の幸福度が上がる。
それぞれの焦点タイプはどんな特徴を持っているのか、どんな仕事が合うのか、次から解説していきます。
- 「攻撃型」「防御型」それぞれの焦点タイプに合った仕事を選ぶと、パフォーマンスが上がり、モチベーションアップにもつながる。
- どんな人も「攻撃型」「防御型」両方の要素を持っているが、大抵の人はどちらかに優位性がある。
攻撃型の特徴と向いてる仕事
「攻撃型」については、本の中で次のように説明されています。
目標を達成して得られる「利益」に焦点を当てて働くタイプ。
競争に勝つのが好きで、金や名誉などの害的な報酬に強い影響を受ける。
つねに大きな夢を持っており、仕事を効率的に進める意思が強い。
基本的にポジティブだが、そのぶんだけものごとを突きつめて考えず、準備不足のままことを進めようとするのが難点。
作業がうまくいかないと、すぐに気落ちする傾向もある。
出典:「科学的な適職」
ポジティブに突き進んでいく「攻撃型」に優位性があるタイプは、動きが速く、進歩や成長の実感しやすい仕事をする事で、モチベーションが高まるとされています。
具体的な一例としては、下記のようなものです。
- コンサルタント
- アーティスト
- テクノロジー系
- ソーシャルメディア系
- 「攻撃型」の人は報酬を求めてポジティブに突き進んで行くタイプ!
- 動きが速く、進歩や成長が実感しやすい仕事に向いている。
防御型の特徴と向いてる仕事
「防御型」については、次の通り説明がされています。
目標を「責任」の一種としてとらえ、競争に負けないために働くタイプ。
自分の義務を果たすのが最終的なゴールで、できるだけ安全な場所に身を置こうとする。
失敗を恐れる傾向が強いため、仕事ぶりは正確で注意深く、ゆっくりと着実にものごとを進めていく。
最悪の事態を想定して動く傾向が強く、時間の余裕がない状況ではストレスが激増する。
分析や問題解決力が高い。
出典:「科学的な適職」
正確で論理的に仕事を進めていく「防御型」に優位性があるタイプは、実務能力が必要で、安心感と安定感を実感しやすい仕事に向いています。
具体的な一例としては、下記のようなものです。
- 事務員
- 技術者
- データアナリスト
- 弁護士
何となく自分がどっちのタイプか、想像出来ますかね?
- 「防御型」の人は正確で論理的!
- 実務能力が必要で、安心感と安定感を実感しやすい仕事に向いている。
次から実際に診断してみよう!
実際に診断してみよう!
ここからは実際に「制御焦点」の診断をしてみましょう。
あまり深く考えず、設問に対して以下の7点満点で回答してください。
- まったく当てはまらない:1点
- ほとんど当てはまらない:2点
- あまり当てはまらない:3点
- どちらとも言えない:4点
- やや当てはまる:5点
- かなり当てはまる:6点
- 非常に当てはまる:7点
以下、設問です。
- どうやったら自分の目標や希望を叶えられるか、よく想像する事がある。
- 私はたいてい、悪い出来事を避けることに意識を集中している。
- 私はたいてい、将来自分が成し遂げたいことに意識を集中している。
- どうやったら失敗を防げるかについて、よく考える。
- 私は、自分の理想を最優先し、自分の希望や願い・対しを叶えようと努力するタイプだと思う。
- 自分の責任や役割を果たせないのではないかと、よく心配になる。
- 恐れている悪い出来事が自分に降りかかってくる様子を、よく想像する。
- 私はたいてい、人生において良い成果をあげることに意識を集中している。
- 職場(学校)での私は、仕事(学業)で自分の理想を叶えることを目指している。
- どうやったら良い良い成績を取れるかについて、よく考える。
- 将来どんな人間になりたいかについて、よく考える。
- 目標とする成績を取れないのではないかと、よく心配になる。
- こうなったらいいなと願っていることが叶う様子を、よく想像する。
- 職場(学校)での私は、仕事(学業)での失敗を避けることを目指している。
- 自分が将来そうなってしまったら嫌だと思う自分像について、よく考えることがある。
- 私にとっては、利益を得ることよりも、損失を避けることの方が大事だ。
お疲れ様でした。
最後に、各設問の点数を設問番号に応じて、それぞれの焦点タイプに加点してください。
- 攻撃型:設問1、3、5、8、9、10、11、13の点数を加点
- 防御型:設問2、4、6、7、12、14、15、16の点数を加点
いかがでしょうか。
最終的な合計点を比較し、点数が大きかった方が、自分に合った焦点タイプということになります。
「攻撃型」「防御型」のどちらのタイプがいいとかそういう話ではなく、どちらのタイプも世の中には必要でそれぞれの焦点タイプに合った仕事を選ぶのが、何より重要です。
皆さんの仕事選びのヒントになるといいですね!
ちなみに僕は48:27の「攻撃型」優位タイプでした!
この本の個人的な共感ポイント
この記事で焦点を当てた「制御焦点」が、個人的にはかなり面白いと思いました。
これまで色々な仕事をやってきましたが、その中でモチベーションが上がる仕事とそうでなかった仕事があり、それがこの「制御焦点」の結果と大体一致していたからです。
「自分に合った仕事を探す」なんて一見雲を掴むようなもののように感じることもありますが、それでも人間モチベーションが上がる仕事とそうでない仕事があるのも事実です。
全てのものに理由がある。
一見答えが見つかりようのないと思える事も、科学によって答えを導き出せるようになるかもしれませんね。
最後に
今回は鈴木裕さんの著書『科学的な適職』の、特に「制御焦点」と呼ばれる適職診断に焦点を当てて説明していきました。
この記事では全てを紹介しきる事は出来ませんが、本の中では冒頭紹介した「AWAKE」のそれぞれのステップや、「7つの大罪」「7つの徳目」についても、それぞれその裏付けも含めてかなり詳しく解説がされています。
記事では本の全てを紹介することは出来ませんでしたが、他にも面白い話がたくさんあります。
- ヤバい職場に共通する8つの「悪」とは?
- 仕事の満足度を高めるための7つの計画
例えば、長時間労働が心身に悪いのは当然だと思いますが、具体的にどれくらいの時間でどれほどの悪影響があるのでしょうか?
気になる方は是非『科学的な適職』を読んでみてください!
中には少し難しい話もありますが、きっと仕事選びに役立つ新たな発見があると思います。
また、キャリアについて改めて考えたい方は、本書とは視点は違いますが以下の本もおすすめです!
今日はこの辺りで。
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