【要約】『運の方程式』ー人生は“運ゲー“だが攻略法はある

学習/習慣

人生の成功を左右する“運“は山のように存在し、持ち前の性格、運動能力、両親の学歴など、すべてを数え出したらきりがありません。

やはり人生は“運ゲー“だと言えるでしょう。

ですが、あきらめるのは早計です。

ありがたいことに、近年では“運“を科学の視点から見た研究が進み、良い偶然を引き寄せる方法がわかってきました。

人生が“運ゲー“の一種なのは間違いないとはいえ、特定のスキルさえ身につければ、ゲームを有利に進めることは不可能ではないのです。

出典:『運の方程式』

「人生はどこまで“運ゲー“か?」

自分は運がいいのか、それとも運が悪いのか。

多くの人は一度は考えてみたことがあるのではないでしょうか。

「親ガチャ」「国ガチャ」などの言葉も近年では浸透し、自分は持っている側なのか、そうではないのか。

自分が持って生まれた「運」に悩まされている人もいるでしょう。

  • “運“とは生まれつき持ち合わせたものであり、生涯変えることは出来ない。
  • あるいは、“運“はただの幻想であり、幸運も不幸も思い込みである。

このように考えている方は多いのではないでしょうか。

しかし、幸運を引き寄せ、運を味方につける方法が実際に存在するとしたら?

それを科学的に解き明かしたのが、本書『運の方程式』です。

読んでいきましたので、レビューしていきたいと思います。

著者はサイエンスライターの鈴木裕さん。

累計100万本以上の論文を読破した科学的知見から、『無(最高の状態)』『YOUR TIME』『最高の体調』など、他にもあらゆる分野の著書を手掛けています。

月間250万PV超の大人気ブログ「パレオな男」の運営もされていますね。

そんな著者が「運」を科学的に解き明かしたのが本書。

一体どんな内容なのでしょうか?早速まとめていきたいと思います。

なお、以下のまとめは自分なりの言葉に置き換えたり構成を少し変えたりしながらまとめていますのでその点ご了承ください。

特に「幸運を引き寄せるための具体的なテクニック」については当記事ではほとんど触れませんので、興味がある方は是非本書をご覧ください!

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人生はどこまで“運ゲー“か?問題

  • 「人生の成功を左右する最大の要因は何か?」という議論は昔から尽きないが、近年「人生の成功の大半は、能力よりも運で決まる」と言う見解が出てきている。ビル・ゲイツやラリー・ペイジなど、“運“の重要性を語る著名人も多い。
  • 世の中には「どうにもならない運」で溢れており、例えば次のようなものがある。
  • 収入の半分は生まれた国で決まる(先進国で生まれた人ほど収入が高い)
  • 収入と満足度ははルックスに影響される(ルックスがいいほど年収が高く、人生の満足度が高い傾向がある)

人生の成功が“運“に左右されることを示すデータは他にもある。例えば、以下のデータがある。

  • 中央ヨーロッパ大学などが「“ランダム性“と“個人の能力“がヒット作の誕生にどう影響するか」ということを調べた研究では、「大ヒットの発生時期は全ての分野でランダムであり、その役割は個人の能力やスキルがもたらす影響より大きい」という結果が報告された。
  • 教育学者のジョン・D・クランボルツらが“成功したビジネスパーソンのキャリア“を調べた研究では、人生におけるターニングポイントの8割は本人の予期していない偶然が関わっていることがわかった。
  • このように、私たちは“人生“と言う名の“運ゲー“の世界を生きている。
  • しかし、“運ゲー“にも攻略法はある。近年の科学により、「良い偶然を引き寄せる方法」がわかってきている。各研究機関等が導き出した“運ゲー“の攻略法は次の通り。

幸運=(行動×多様+察知)×回復

  • これが、“運の方程式“である。
  • 上記を踏まえた「運を掴むためのロードマップ」は以下のようになる。
  1. 「行動と多様性」を増やして良い偶然を増やす
  2. 行動から生まれた偶然を「察知」してチャンスをつかむ
  3. 察知した偶然を良い現実に変える「行動」を取る
  4. 失敗から「回復」し、また行動する

運ゲーを攻略するための方程式

ステップ①:「行動(量)×多様」でワールドマップを探索する

  • 成功のためにまず必要なのは行動回数を増やすこと。「成功には試行回数が重要だ」とよく言われるが、これは簡単な計算式でシミュレートできる。成功率が1%と仮定した場合、100回を超えたあたりで約63.7%、459回で約99%になる(※「[失敗確率]n乗」で計算)。
  • とはいえ、何でもかんでも試行回数を増やせばいいわけではない。運ゲーというRPGのワールドマップをひたすら探索するかの如く、「行動量」「多様性」を同時に増やすことが重要である。
  • ワールドマップの「探索」に必要な能力は「好奇心」である。ウィスコンシン大学によるメタ分析では、天才(同世代よりも知性が突出する人)に共通する性格特性は「好奇心レベルの高さ」だということがわかった。
  • 好奇心や多様な行動の重要性は多くの分野で確認されており、例えばアリゾナ州立大学がS&P500の約4500人のCEOを対象にした調査では、複数の企業や業界を経験したジェネラリストの方が、スペシャリストよりも稼ぎが19%高いことがわかった。また、スポーツにおける成功に関するメタ分析では、「世界レベルのアスリートほど10代の頃は複数のスポーツに時間を使い、一つの種目に狙いを定める時期が遅かった」という結果が報告されている。
  • このように好奇心は重要だが、人は新しいものを嫌う「反新奇バイアス」を持っているため、自然と「いつも通り」に落ち着く傾向がある。なので、多様性のある行動を増やすには、意識して「好奇心」レベルを上げていくことが必要である。
  • 好奇心を身につける方法はいくつかあるが、中でも最大のポイントは、「Fake it till you make it(うまくいくまで、うまくいっているふりをせよ)」という言葉に集約される。南メソジスト大学の心理学者ネイサン・ハドソンらによる研究で、「好奇心」も「うまくいっているふり」で向上することがわかっている。好奇心を引き出す「行動」を取ることで、実際に好奇心が高まり、行動量と行動の多様性が増えていくのである。

ステップ②:良い偶然を「察知」する

  • 「行動×多様」だけでは、ゲームをクリアすることは出来ない。多様な行動によって生まれた偶然を「察知」する必要がある。
  • ブリガムヤング大学のジェフリー・ダイアーらが行った、過去に斬新なプロダクトを開発した経営者や発明家3,500人ほどへのインタビューでは、「イノベーションを起こす人ほど観察に時間を費やし、そこから得られる小さな変化を察知することで前例のない発明を生み出していた」ということがわかった。
  • しかし、偶然をうまく察知するのは想像以上に難しい。ウエスタン・ワシントン大学が大学生を対象に行った実験では、「そりゃ気づくだろ!」みたいな場所にあからさまにお金を吊るしてみたにも関わらず、約8割の学生はそれに気づかずにスルーしてしまった。
  • 偶然を察知するために、「問いを繰り返すこと」が重要である。「成長マインドセット」で有名なキャロル・ドゥエックが行った研究では、日頃から自問を繰り返す人ほど成績が良く、学習・健康・貯金などの目標の達成率が高かった。また、この結果は解決策の質や量とは独立して確認されており、正しい答えを出すより問うことそのものが重要だと言える。

ステップ③:「行動の質」を高める

  • 成功をつかむには良い偶然を「察知」することにとどまらず、特定のアクションにコミットし続けるのも欠かせない。
  • 重要なのは「幅広い実験」と「一点集中」を繰り返すことである。ノースウェスタン大学が、画家・映画監督・科学者の3分野、総計2万5000人以上を対象に行った研究によると、「成功し続ける人の多くは、キャリアの初期は複数分野にリソースを分散させて試行錯誤していたが、成果が上がってからは一つの分野にリソースを集中していた」ということがわかった。逆に、幅広い実験を繰り返した後で焦点を一つに絞らない場合や、成果を収めた後に再び幅広い実験い戻らなかった場合は、その後の成功が続く確率は大幅に落ちることも報告されている。
  • 自分のリソースを注ぐ対象を決める上では、「自己調和ゴール」を考えることが役に立つ。自己調和ゴールとは、私たちの価値観、興味、才能に適したアクティビティのこと。心から価値を感じられるものや、活動そのものからモチベーションを得られるアクティビティにコミットし続けるのが良い。
  • 人生に確変状態を起こすためにも、「今は“今は幅広い実験“をすべきか?“一点集中“すべきか?」を考えながらやるといい。

ステップ④:挫折から「回復」する

  • 行動が増えれば幸運も増えるが、失敗の数も増えることになる。いろんなことを試す以上、失敗はつきものになるので、失敗から立ち直る「回復力」も重要になってくる。
  • 成功に「失敗からの回復力」が関係することを示したデータもあり、例えばノースウエスタン大学の研究では、成功した科学者や企業にだけ見られた特徴を3つ報告している。
  1. キャリアの初期に失敗を経験した方が、後年により大きな成功を手にしている
  2. 最初の失敗から2回目の失敗までのスパンが短い(失敗からの立ち直りが早いから)
  3. 失敗から学ぶ能力がある
  • つまり私たちに必要なのは「挫折から立ち直り、失敗を糧にする力」である。
  • とはいえ「失敗」は多くの人にとって嫌なもの。そこで参考になるのが「科学者のマインドセット」である。
  • 一般的には、「失敗=自己の欠陥」とみなされる傾向があるが、科学者のマインドセットでは「失敗」は「ただのデータポイントの一つ」として考える。このマインドセットがある人は、「問題を解くためには仮説と検証を繰り返す必要があり、失敗とはその中で新しく得られたデータの一つに過ぎない」と考える。
  • なお、科学者のマインドセットは「失敗を楽しもう!」「進んで失敗しよう!」といったアドバイスとは異なるので注意。重要なのは「この世界は壮大な実験室である」という視点を持ち、失敗をあくまで正解に行き着くための検証結果の一つとして捉えること。具体的には、次のように自分にいい聞かせるのが良い。
  • 失敗は人間の行動においてごく自然なものであり、私の能力の低さを示すものではない
  • 失敗の中には、将来の改善に役立つ重要な情報が含まれている
  • 1935年、スイスの抽象画家のパウル・クレーは、病気により両手を満足に動かせなくなったが、それでも絵を描き続けた。うまく動かない手が、かえって類を見ない独創的な作品を生み出し、1年で1253点もの作品を世に生み出したのである。病後に創造性が爆発した理由について、クレーはこう語っている。

私は描く。泣かないために。

最後に

いかがだったでしょうか。

当記事では運をつかむためのテクニックに少しだけ触れていきましたが、ここでは紹介出来なかったものやすぐに取り入れられる具体的な方法が本書で紹介されていますので、興味がある方は是非読んでみてください!

本書を読んで皆さんが“幸運“を引き寄せられることを心から願っています。

今日はこの辺りで。

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