王道にして最強の学習テクニック「検索練習」のメリットとやり方など

学習/習慣

この前から「科学的根拠のある勉強方法をまとめていこう!」という形で記事を書いています。

世の中には数えきれないくらいの学習テクニックがあるので、

  • 色々試しているけど効果が出ている実感がない!
  • 結局何が正しいのかよくわからない!

みたいなことになりがちだったりするので、「本当に効果のある学習方法をまとめよう!」ということでやっていきたいなと思った次第です。

そこで、まずは学習の王道にして最強とも言われる「検索練習」というテクニックからご紹介出来ればと思います。

早速参りましょう!

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検索練習とは?

そもそも「検索練習」とはどんなテクニックなんでしょうか?

検索練習は学習学の世界では「テスト効果」とも呼ばれるもので、「なんらかのスキルや知識を、忘れかけたころに意図的に思い出すこと」です。

テスト問題を解いたり、フラッシュカード等を使って「なるべく苦労して思い出す」というのがミソ。

検索練習の効果を示す有名なものとして、2006年にワシントン大学の研究チームが発表した実験データがあります。(R

この実験は検索練習の生みの親とも言われ、著書『使える脳の鍛え方』等で有名なヘンリー・ローディガー博士らが行ったものです。

どういうものだったかというと、

  • 学生を2つのグループに分け、大学の講義で扱うような科学的な文章を読み、一方のグループは文章を再読し、もう一方のグループは文章を思い出すためのテストを受けた。
  • 2日後にテストを行ったところ、再読グループは54%の内容を思い出したのに対し、テストグループは68%の内容を思い出すことができた。
  • 1週間後に再度テストを行ってみても、前者が42%だったのに対し、後者は56%と、テストグループの優位は変わらなかった。
  • さらに別の実験でも、再読グループは学習したことの52%を1週間後に忘れたのに対し、テストグループは10%しか忘れなかった!

いずれも「テストをすることで学習内容を思い出す」ことをしたグループの方が、記憶の定着率が断然良い成績を残すことができたわけですね。

この実験をきっかけに「検索練習」の凄さは少しずつ浸透し、メタ分析でもその効果が確認されています。(R

そんな感じで今では「検索練習こそが最強の学習テクニックだ!」みたいに言われるようになってい流ところです。

検索練習のメリット

ここからは検索練習のメリットをご紹介していきます。

上の実験が示すように、まずは「記憶への定着力が劇的に上がる!」という点が第一のメリット。

しかし、それ以外にもいろんなメリットがあるのが、検索練習のすごいところ。

上述のヘンリー・ローディガーさんにより「検索練習10のメリット」をまとめられているので、ここではその中からいくつか取り上げていきたいと思います。(R

メリット①:メタ認知力の向上

一つ目のメリットはメタ認知スキルの向上です。

メタ認知は思考についての思考、つまり自らの認知(考える・感じる・記憶する等)を客観的に捉える力のことです。

このメタ認知については別の機会で詳細に書いていこうと思っているのですが、学習においてメタ認知力が重要なのは、それが学習の成果に直結するからです。

『Learn Better』で紹介されていたマーセル・ヴィーンマンによると、「メタ認知の重要性はIQを上回り、成績の約40%はメタ認知によるものである(IQは25%)」とのこと。

  • 自分が学ぼうとしているスキルや知識はどんな体系で成る概念なのか?どんな要素で構成されているのか?
  • 自分は今、何をどれだけ知っているのか?何を知らないのか?
  • 自分は本当にこれを理解しているのだろうか?理解が足りない部分は、どうしたら理解できるだろうか?

上記のように自分に問いかけをしていくのが大事で、これがないと勉強の計画を立てることもできず、本当はわかっていないことをわかったつもりになってそれ以上学習しなくなる、みたいなことになったり。

なんで検索練習でメタ認知力が向上するのか?っていうと、検索練習で自分が何を知らないかがはっきりするから。

ただ本を読んだり人の話を聞いているだけだと自分の理解度は分かりづらいですが、テストでフィードバックを得られれば、嫌でも自分が理解しているかが分かりますからね。

このようなメタ認知力の向上が、記憶の定着以外での1つ目のメリットです。

メリット②:知識の応用力がつく

2つ目は、知識の応用力がつくという点です。

単なる暗記だけでなく、検索練習により学んだ知識を他の分野にも使いやすくなるようです。

上の「検索練習10のメリット」の中でいくつかの研究結果が紹介されていますが、例えば

  • 学生を対象に鳥の分類に関する学習をしてもらった後、一方のグループは繰り返しテストを行い、もう一方のグループはテストを実施しなかった
  • 結果、テストを実施したグループの方が、学習中に登場しなかった新しい鳥もうまく分類することができた

他に様々なトピックで同じような実験をしても、同様にテストを受けたグループの方が成績が良かったみたいです。

その成績を表しているのが下記の図で、結構な差が生まれるようですね。

参照;「Ten Benefits of Testing and Their Applications to Educational Practice

知識やスキルの応用力がつく点が、検索練習の2つ目のメリットです。

その他のメリット

3つ目は、学習意欲の向上。

なんだかんだこれが一番嬉しいのではないでしょうか笑

その他にもワーキングメモリが改善されるんじゃないかとか、継続的なテストで学習に対するモチベーションが上がるんじゃないか等、いろんなメリットがあるようです。

検索練習により単純に知識に定着するだけでなく、学習に必要なスキルそのものがレベルアップしたり、モチベーションにも良い影響があるようですね。

さすが「学習の王様」と言われるだけあって、かなり素晴らしいメリットが得られるんじゃないでしょうか。

抑えるべき基本ポイント

とにかく「思い出す」要素を組み込む

検索練習でよくある誤解は、「要するにとにかく問題集を解きまくればいいんでしょ」みたいなものです。

しかし、そうではなく上の定義にも書いたように「忘れかけた頃に思い出す」というプロセスを作るのが重要です。

だがこの手法のポイントは質問を出すところではない。

大事なのは自分が知っていることを思い出す手間をかけることである。

自分の知識について質問して、それが再生できるかを確認するのだ。

出典:『Learn Better』

なので、そもそもインプットが不十分なまま問題集を解いたり、忘れる間もないくらい短い間隔でテストを受けても効果薄。

また、「実際に思い出すことが出来たかどうか」も、そこまで気にする必要はありません。

ともかく「忘れかけた頃に頑張って思い出す」要素を取り入れて行きましょう。

ちなみに、検索練習は事実情報だけじゃなくて、例えば「〇〇となる理由を説明せよ」みたいに概念を理解したい時にも使えます。

身につけたい知識や概念などに、どんどん検索練習を取り入れていきましょう!

一定間隔を空けながら何度か復習する

上の方で「忘れかけた頃に思い出すのが重要!」という話を書いていきましたが、「じゃあ忘れかけた頃って、一体いつなんだ?」と疑問に感じた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

そこで2つ目のポイント、「一定間隔を空けて復習を繰り返すこと」が重要になってきます。

これは「分散学習」とも呼ばれるやり方です。

エビングハウスの忘却曲線」なんかが有名ですが、人は復習を繰り返すたびに記憶を保持できる期間が長くなっていきます。

なので、「忘れかけるタイミング」、つまり復習のベストタイミングも、学習を繰り返す度に長くなっていくということ。

「具体的にどれくらいの間隔を空ければいいのか?」というところは諸説あるんですが、例えばポーランドの研究者ピョートル・ウォズニアックさんの考案したスケジュールに従うと、こんな感じです。

  1. 1日〜2日後 → 最初の復習
  2. 7日後 → 2回目の復習
  3. 16日後 → 3回目の復習
  4. 35日後 → 4回目の復習
  5. 62日後 → 5回目の復習

このように、段々次の復習までの期間を徐々に伸ばしていきます。

実際はあまり理解出来ていない・覚えていない問題はもっと短い間隔で復習した方がいいし、楽勝な問題はもっと長い間隔で復習した方がいいと思いますが、ともかく「復習のタイミングは徐々に伸ばした方がいい!」というところを押さえていきましょう!

検索練習のやり方

検索練習はのやり方としては色々なものがありますが、メジャーなもの問題集やフラッシュカード、学校なら小テストなどになるでしょう。

後は個人的には、「Anki」というアプリを愛用しています。

上に書いたように一定間隔を空けながら、しかも少しずつ間隔を長くすることで効果が高まるんですが、これを自分でスケジューリングしようとするとめちゃくちゃ面倒なんですよね。

Ankiを使えば問題に合わせて、忘却曲線に沿ったスケジュールを自動で設定出来るので、かなり便利です!

興味がある方は以下からダウンロードしてみて下さい(ちなみに案件ではございません笑)。

ちなみになぜかiPhone版のみダウンロード時に3,060円が発生しますのでご留意ください。

iPhoneの方で「まずは試してみてからお金を払うか決めたい!」って方はPC版なら無料でダウンロードできるので、こちらを最初に試してみるのもいいかもしれませんね。

「Anki」は英単語帳としての使い方がメジャーですが、資格試験などいろんな使い道があると思うので、ぜひ色々試してみてください!

まとめ

今回は基本にして最強の学習テクニックである「検索練習」をまとめていきました。

まとめ
  • 「検索練習」は知識が記憶に定着するだけでなく、学習に必要なスキルやモチベーションなど様々な面でのメリットがある上に手軽に出来る。そのため、「学習テクニックの王様」とも呼ばれる。
  • 検索練習を実施する際には、以下のポイントに気をつけるといい。
    1. 「忘れかけた頃に思い出す」要素を取り入れる
    2. 徐々に復習のタイミングを伸ばしながら、一定間隔を空けて復習を繰り返す
  • 具体的なやり方は色々あるが、「Anki」アプリは特におすすめ(個人的に)。

この後もいくつか「科学的根拠のある学習テクニック」を紹介していく予定ですが、面倒なことを考えたくなければ今回の「検索練習」を使いまくるのもアリだと思います笑

それくらい使いやすい上に効果絶大なテクニックなので、ぜひ色々と試してみてください。

そんなところで。

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