日記は自己分析に役立つのか?日記を書くメリットと効果のある書き方

学習/習慣

僕の人生は塗り絵みたいだ!毎日新しいページに新しい絵があって色を塗るんだ・・・

-チャールズ・M・シュルツ(漫画『ピーナッツ』作者)

日記を書いた方がいいよ!みたいな話を耳にすることがあります。

日記にはだいたい以下のようなメリットがあると言われているわけです。

  • 文章を書くのが上手くなる!
  • メンタルにいい!
  • 客観的に自分の行動を見れる、行動パターンを知ることが出来る!
  • 思考を整理することで自分の考えが深まる!自分の本当の気持ちに気がつくことが出来る!

下の2つは要するに「日記で自己を知ることができる!」ということですね。

「日記で自分を知ることができるなんて常識だろ!」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、実際のところどうなんでしょうか?

結局日記を書くメリットとはいったい何でしょうか?

その辺りをさっそく見ていきましょう!

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衝撃!日記は「自己を知る」ためには役に立たない

日記のメリットとしてよく言われるのが「自分への理解が深まる」というもの。

自分の感情や考えを書き出すことでそれらを客観的に見ることが出来るし、毎日続けてればパターンが見えてくるから、というのが理由ですね。

いかにももっともらしい話に思えますが、実際はどうなんでしょうか?

この点については、組織心理学者のターシャ・ユーリックの著書『Insight』で明らかにされています。

ユーリック先生は自己認識について長年研究している方。

ちなみに「自己認識」という言葉の定義は、本書では以下のように定義づけられてます。

自己認識とは、要するに、自分自身のことを明確に理解する力ー自分とは何者であり、他人からどう見られ、いかに世界へ適合しているかを理解する能力だ

出典:『Insight』

つまり、自分の内面に対する自分の理解だけでなく、自分が周りからどう見られているかに対する自分の理解のことも指しているわけです。

まさにこの手の話に対してはプロ中のプロですね。

そんなユーリック先生は、「日記を書くことで自分を知ることが出来る、というのは間違った考えである」と主張します。

例えばある研究によると、日記をつけている学生ほど内省をしていたが、日記をつけていない学生と比べて自己認識が優れているということはなかったという結果が報告されています。(R

これは結構衝撃的ですねー。

もし日記を書くことで自己認識を深めたいのであれば、以下の5点がポイントになるとのこと。

  1. 一度に20〜30分ほどの時間を取り、「自分の人生に大きな影響を与えてきた問題に対する一番深い部分の思考や感情」を書き出す
  2. 感情だけではなく、必ず出来事と感情の両方を書き出す
  3. ネガティブな出来事は検証し、ポジティブな出来事は考え過ぎない(ポジティブな出来事を詳しく分析すると逆に幸福度が下がる)
  4. 自分ではなく他人の観点で検討する
  5. 毎日書かない(過度に考え込んだりネガティブな感情を抱えてしまう可能性がある)

ちと面倒な印象もありますが、自分への理解を深めたいならこれくらいしっかりやらないといけないみたいですね。

詳細知りたい方はぜひ『Insight』を読んでみてください!

では、日記のメリットとは?

上で書いてきた通り、日記で自己を観るのは微妙な印象です。

では、日記を書く意味はないという事でしょうか?

そんな面倒な話は知らん!私は日記が好きなんだ!だからこれからも書き続けるんだ!

そう思った方、正解です。

自分を知ることは難しくとも、書き方次第では日記により様々なメリットを得ることが出来ます。

この記事ではその一例をご紹介出来ればと思います。

食習慣を劇的に改善する!ー「食事日記」

漠然と「自己を知る」のは難しいかも知れませんが、特定の目的に絞った分析ツールとして高い効果を認められたものはあります。

その代表例は「食事日記」でしょう。例えばシェフィールド大学が行った1万9951人分のデータを精査したメタ分析では、「食事を記録することで健康は改善するか?」ということを調べています。(R)

その結果、以下のことがわかりました。

  • 毎日の食事を記録した方が健康的な食事の量が増える!
  • さらに記録の回数が多ければ多いほど食習慣は改善する!

食事を日記に記録することで、食習慣の改善、それにより健康状態が改善すると認められたわけです。

すばらしいですねぇ。

さらにこの論文では、食事日記が食習慣の改善に対する効果量として「d=0.40」という数値が出ています。

効果量はざっくり言えば効果の大きさのことで、「d=0.30」以上であれば「十分に試す価値がある」とされています。

参考までにマインドフルネス瞑想が「d=0.36」なので、この手の心理テクニックとしてはかなり数値と言えるでしょう。

なぜ食事日記にコレだけの効果があるのか?というと、以下のような点があるからです。

  • 目標が念頭にあることで目の前の誘惑に強くなる
  • 定期的な記録から進捗を感じられるのでモチベーションが高まる

「小さな進捗がモチベーションをめちゃめちゃ高めてくれる」という話は、ハーバードビジネススクール教授のテレサ・アマビールの研究が有名ですね。(R

上記を踏まえると「食事日記」でなくとも、「目標に向けた日々の自分の取り組みを記録する」という行為にはかなり効果が期待出来そうなのではないでしょうか。

是非試してみて下さい!

たった8分でストレスに効きまくる!ー「筆記開示」

さらにもう一つ、メンタル改善効果のある「筆記開示」というものをご紹介します。

筆記開示は「自分が感じているネガティブな感情を何も隠さず書き殴る」というもの。

難しいことは考えず、ネガティブな気持ちを吐き出し切るつもりでひたすら思い浮かんだことを書き出していきます。

シンプルですねー。

1980年代に提唱されたやや古めのテクニックではありますが、数百の実証実験で不安やうつ状態の改善が認められております。

また、ミシガン州立大学が心配性に悩む学生を対象に行った研究では、以下のようなことがわかりました。(R

  • 8分間筆記開示を行ったグループは、単に前日の出来事を書き出しただけのグループよりも脳トレ系テストの成績が向上した!
  • さらに脳のリソース効率が向上していた!

つまり、筆記開示をしたグループの方が、あまり労力を使わずともテストで良い成績を取ることが出来た、ということですね。

こういった効果があるのは、筆記開示によりネガティブな感情から脳が解放されるから。

皆さんもネガティブな気持ちになっている時ほど頭がうまく回らないなー、みたいに思った経験ないですか?

その理由の一つは、心配事や不安といったネガティブな気持ちが脳の容量を使っているから。

つまり、脳がマルチタスク状態になっているわけです。

筆記開示によりネガティブな感情が吐き出されると脳の容量が解放されるので、その分考えたりテストを解いたりといった他の活動に脳の容量を使えるようになるわけですねー。

ちなみにこの方法のポイントは「ひたすら感情を書き出す」ってところなので、別に日記である必要はございません。

ネガティブな感情が湧き出てくる都度、スマホのメモ帳にひたすら書き出すなどしても良いでしょう。

心理カウンセラーの伊藤絵美さんは、フォロワー0のTwitterの鍵アカに書くことをオススメしておりました(開放感がある一方で誰にも見られることはないので笑)。

そんな感じでメンタル的にお悩みの方は是非お試しくださいー!

とりあえず今回はそんなところで。

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