本物の理解を得るには欠かせない「ファインマン・テクニック」とはどんなものか?

学習/習慣

この前から「本当に効果のある勉強方法をまとめていこう!」ということで、前回は「検索練習」をまとめていきました。

「検索練習」は学習の王様とも呼ばれるテクニックで、あるものを「忘れかけた頃に思い出す」ことで、記憶にはもちろんメタ認知力の向上など様々なメリットがあるものです。

手軽で使いやすいわりに効果絶大なので、基本的に「検索練習」を使っているだけでも、学習においては十分かもしれません。

しかし一方で、検索練習は問題集を用意したり自分で問題を作る必要があり、資格勉強などには強いものの、複雑な概念を深く理解していくためには若干不向き(というか問題を作るのが結構面倒)だったりもします。

そして社会人になると、割とこの手の学習が必要な場面が増えてくるんですよね。

「難しい概念でもしっかり理解したい!」って時に使えるのが、今回ご紹介する「ファイマン・テクニック」です。

一体どんなテクニックなんでしょうか?

早速まとめていきたいと思います!

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ファインマン・テクニックとは?

「ファインマン・テクニック」はノーベル賞を受賞者であり、説明の達人とも評された物理学者リチャード・ファイアマン先生が考案したテクニックです。

このテクニックを一言でいえば、「物事をわかりやすく説明することを通じて理解を深めていく」というもの。

その裏には以下のコンセプトがあります。

難しい言葉や曖昧な言葉でしか説明できないなら、それは物事を理解していない証拠である

ファインマン先生曰く、知識には「単に知っている」状態と「理解している」状態の2種類があるそう。

例えば「難しい専門用語を使って話しているとき」なんかは、その概念をしっかりと理解できていない可能性があります。

本当にその言葉を理解している訳ではないので適当な言い換えが出来ず、とりあえず覚えたままの言葉に頼ってしまっているパターンですね。

つまりそれは「単に知っている状態」なわけです。

アメリカの哲学者モーティマー・アドラーさんは、以下のような言葉を残しています。

自分の考えていることは分かっているがそれを表現できないという人は、たいてい自分の考えていることを分かっていない。

-モーティマー・アドラー(哲学者・教育者)

人にわかりやすく説明できてこそ、本当に理解していると言えるということですね。

私も気をつけねば。。。

なぜファインマンテクニックが必要なのか?

人は「わかったつもり」になりやすい

なんでファインマン・テクニックみたいなので理解を深めていく必要があるのか?というと、人はとにかく「理解したつもり」になりやすいからです。

「知っているつもりになる」ことについては長年研究されており、心理学ではそれを「説明深度の錯覚」と言います。

例えば、イェール大学の認知科学者フランク・カイルさんとレオン・ロゼンブリットさんが行った実験では、以下の質問をして主観的な理解度がどう変化するかを調べました。(R

  1. あなたはファスナーの仕組みをどれだけ理解しているか、7段階で答えてください。
  2. ファスナーはどのような仕組みで動くのか、できるだけ詳細に説明してください。
  3. もう一度、あなたはファスナーの仕組みをどれだけ理解しているか、7段階で答えてください。

大抵の人は、③の段階での自己評価を、①の段階より1〜2段階下げたようです。

ファスナーは日常的によく使うものなので、わかっていると思いがち。

その仕組みについて説明を求められたときに、初めて「自分が思っていたほど知らなかった」ことに気がつくのです。

また、日常でよく見かけるものや、何度も触れた情報ほど、理解したと思い込みやすい点も気をつけたいところ。

例えば、本の再読にはあまり効果がないのですが、それでも何度も読んでいるうちにわかってきた感覚になるのは、本当に理解しているわけではなく単純に文章に慣れたから。

学習に関する著名な研究者で「検索練習」の生みの親でもあるヘンリー・ローディガーさんは、この現象について以下のように述べています。

すでに述べたとおり、文章に慣れてすらすら読めるようになることで、習得したという錯覚に陥るのだ。

学生は授業で聞いた語句をそのまま懸命に書き留め、文章そのもののなかに主題の本質があると思いこむ。

講義や教科書の内容を憶えることと、その背景にある概念を理解することはまったく別なのだが、くり返し読んでいるうちに根底の概念を理解したような気になるのだ。

だまされてはいけない。

出典:『使える脳の鍛え方』

「過信」は学習の敵

こういった「わかっているつもり」が危険なのは、「自分はこれを理解している!」という過信があると、それ以上学ぼうとしなくなるからです。

ノーベル賞を受賞した行動経済学者のダニエル・カーネマンさんは、「過信」について以下のようにコメントしています。

「私が魔法の杖を持っていたら、何を消すかな?」。

カーネマンは問い返してから答えた。

「それは、過信だよ」

出典:『Learn Better』

カーネマンは、「自説に固執するのはあくまで暫定的であり、自分の考えを無条件に愛することはない」という考え方を持っていたそうです。

豊富な知識を誇る偉大な科学者でさえ、決して自分の知識を確信することはなく、学びを通じて常に知識をアップデートしていたということなんですね。

フォード、ブッシュ両大統領のもとで国防長官を務めたドナルド・ラムズフェルドさんが言った次の有名な言葉があります。

わかっていないことがわかっていることもある。

つまり、自分達にはわかっていないという事実が、わかっていることだ。

しかし、わかっていないことがわかっていないこともある。

自分たちにはわかっていないという事実すら、わかっていないことだ。

出典:『知ってるつもり 無知の科学』

「わかっていないことがわかっている」のであれば、理解できていないことを学習すればいいだけ。

「わからないことがわかっていない」状態にならないよう、気をつけていきたいですね。

上述のファスナーの実験のように人に説明をしようとすることで「理解できているかどうか」に気がつくことができ、理解できていないことに気が付けば、新たに学んでいくことが出来ます。

ファインマン・テクニックのやり方

いつものごとく前置きが長くなりましたが、ここからはファインマン・テクニックの具体的なやり方をまとめていきます。

以下の記事でわかりやすくまとめられていたので、こちらをもとに書いていきたいと思います。

The Feynman Technique: The Best Way to Learn Anything - Farnam Street
The Feynman Technique is a simple method of learning that unlocks your potential and helps you learn anything.

ステップ①:学びたいトピック(知識や概念)を選ぶ

まずは自分が学びたいと思うトピックを決めていきます。

例えば「関ヶ原の戦いはどんな経緯で勃発したのか?」みたいな感じですね。

そのトピックに対して知っていることをひたすら書き出し、調べて新しい情報を書き足しながら、理解を深めていきます。

自分が「このトピックについて理解できた!」と思ったら、次のステップに進みます。

ステップ②:脳内の「12歳の子供」に向けて説明してみる

ステップ①で十分に理解できたと思ったら、それを脳内で12歳くらいの子供に向けて説明してみます。

この時、難しい専門用語などは説明から排除して子供が理解できる言葉だけを使うこと。

難しい言葉を使っても、子供はそれを理解することは出来ませんからね。

そうやってシンプルな言葉に置き換えようとした時に、「うまく説明できない!」「いい言葉が出てこない!」ってポイントが出てくるはず。

ここが重要で、このつまずきによって自分がまだ理解できていないところを知る事ができます。

うまく説明できなかったポイントをメモして、次のステップに進みましょう。

ちなみに、簡単な言葉に置き換えて説明するサンプルとして、記事の中で『ホワット・イズ・ディス? むずかしいことをシンプルに言ってみた』という本が紹介されています。

こちらもご興味があれば参考にしてみてください。

ステップ③:うまく説明できなかった部分の表現を改良する

②でメモしたポイントを、簡単な言葉で説明できるように修正してみましょう。

わからないこと調べたり、参考書を見返してみたり。

専門用語や難しい言葉を使わなくても説明できるよう、表現を変えていきましょう!

シンプルな言葉で説明しようと調べて行く度に、理解が深まっていくと思います。

ステップ④:②〜③を繰り返す

後は脳内の子供が理解するまで、ひたすら②〜③を繰り返していきます。

実際に説明しなくても学習効果は高まる!

上述のように、ファイアマン・テクニックでは「脳内の子供」に説明するつもりで知識や概念を整理していきます。

もちろんここでまとめたことを実際に誰かに説明をしてもいいのですが、ありがたいことに「人に説明するつもり」で勉強するだけでも学習効果が高まることがわかっています。

2014年にワシントン大学が行った研究で、学生たちを2つのグループに分けて実験を行いました。(R

  1. 「この後にテストがある」と思いながら勉強する
  2. 「この後で他の学生に教えなければならない」と思いながら勉強する

その後両グループに確認テストを実施したところ、2番目のグループの方が内容を正確に思い出す確率が28%も高く、重要な情報ほど記憶に残っていたそうです。

なんでも「人に説明しなきゃ!」と思いながら勉強することで、要点を整理したり重要な情報をまとめようと自然と能動的な姿勢になるのがいいんじゃないか、ということでした。

これは僕みたいな内向的な人間にはありがたいですね(笑)

そんな感じで、実際に誰かに説明をせずとも「ファインマン・テクニック」を使いながら人に説明しようとするだけでも、理解が捗るんじゃないでしょうか。

まとめ

ここまででガッツリ理解を深めたい時に使える「ファインマン・テクニック」をまとめていきました。

まとめ
  • 人は実際よりも「自分はそれを理解できている!」と錯覚しがち。人に説明しようとすることで、自分の本当の理解度に気がつくことができる。
  • 「自分はそれを理解できている」という過信があると、それ以上学習しようとしなくなる。ちゃんと物事を理解するためには、まずは自分がわかっていないことを理解すること。
  • 難しい言葉でしか説明できないのなら、それは物事をちゃんと理解できていない証拠。子供がわかるような説明となるよう修正していくことで、理解を深めていくことができる。
  • 実際に人に説明してみてもいいが、「説明するつもり」で勉強するだけでも理解は深まる。

ちなみに僕がブログで色々とまとめているのも、説明しようとすることで理解を深めることが目的の一つだったりします(理解も表現はまだまだだと思いますが、、)。

説明しようとすると思っていた以上に理解できていなくてショックを受けることもよくありますが笑

ただ簡単な説明をしようとするうちに新たな発見があったり、理解が深まったりでこれはこれで面白いなーとも感じています。

まあ「ファインマン・テクニック」は別にブログや特別なノートにまとめなくても手軽にできるので、是非理解を深めたい時に使ってみてください!

その他以下の記事でいろいろな学習テクニックをまとめているので、こちらも合わせて参考にしてみてください。

そんなところで。

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