会社や上司に何かしらの不満を持っている方は恐らく多いのではないでしょうか(笑)
モヤモヤする気持ちを持ちつつも、それを直接言うわけにも行かず、仲のいい同僚と愚痴をこぼし合ったり。
そういった態度に対して、会社のトップや社会は「不満があるなら口に出して行動しろ!」と言います。
しかし、そうした提案や意見って実際どれだけ受け入れられるんでしょうか?
もちろん、言ってしまえば「相手や会社の文化によるし、自分が何をどう伝えるかによる」というのが結論なのですが。
ただ傾向として受け入れられやすいのか非難されやすいのか、みたいなところは気になりませんか?
その辺りを見ていきたいと思います。
地位が低いと意見や提案は受け入れられづらい
この話をアダム・グラントさんの著者『ORIGINALS』の中で紹介されている研究をもとに見ていきたいと思います。
まず結論としては、見出しにも書いたように「地位が低いと意見や提案は受け入れられづらい」傾向がある事が分かりました。
『ORIGINALS』の中で、以下の研究が紹介されています。
- ノースカロライナ大学が行った研究で、地位がない人が権利を行使しようとすると非難される事が分かった
- 製造業やサービス業、非営利団体などを対象に行ったある研究で、従業員が上司に対して頻繁にアイデア提案や問題への意見を言うほど、2年以内に昇給昇格をする可能性が低くなった
- 人種差別に意見を反対意見を唱えた人は、反対意見を言わなかった人たちに非難されていた
部下が率先して協力を申し出たり、知識を取得したりしようとすることは歓迎される一方で、意見や提案は非難されやすいようです。
受け入れてもらえないだけならまだしも、むしろ言うことでマイナスになる訳ですね。
なんとも切ない結論に。。。
何が違いを生むのか?ーポイントは「周りからの尊敬」
結論自体は感覚的には「なんだ、当たり前の話じゃないか」とも思ってしまうかもしれません。
ただ実際のところ、なぜ組織内での地位が低いと意見や提案は非難されるのでしょうか?
なぜ地位が上がることで、意見や提案が受け入れやすくなるのでしょうか?
『ORIGINALS』の言葉を引用すると、
メディナが突き当たった壁を理解するには、ひとくくりにされがちな「権力」と「地位」という社会的階級の大きな二つの側面を切り離して考えればならない。
「権力」には、統制力や他者に対する権限の行使が関わっている。
「地位」とは、他者から称賛されることや尊敬されることを意味する。
『ORIGINALS』
※メディナ→本の中で紹介されている事例の登場人物です
つまり、「周りからの尊敬や信頼」の有無が、提案や意見が受け入れられる可能性に関わっている、ということが言えます。
「誰が尊敬出来る人・信頼出来る人なのか」っていうのは、外から見てるだけでは中々分からないもの。
その点「地位がある」っていうのはある意味分かりやすいんで、「地位がある=信頼出来る→意見を聞こうかな」みたいになるんですかね。
特に大きな組織になるほど、「地位があるかどうか」の影響は大きくなるんじゃないかと思います。
反対に小さな組織だと大体の人は顔見知りだったりする訳で、そうなると地位とかよりは普段の言動の方が「意見や提案を受け入れてもらえるか」に影響してくるんじゃないかなーと思います(やたらとトップダウンの文化がある組織なら別だと思いますが)。
決して「一切意見するな!」という話ではない
上に書いた話だと、特に大きな組織ほど「地位がない人は意見や提案をするべきではない」となってしまいそうです。
ただ決してそんな事はなく、「受け入れられやすい状況を作る」事さえきちんと出来れば、少なくとも非難されるというリスクを減らし、受け入れられる可能性を上げる事は出来るんじゃないかと。
もし意見や提案をする場合には、以下のように自分に対して問いかける事で意見を言うべきかどうか、また受け入れて貰える可能性を上げていくためにどうすべきか、一度考えて見るのがいいかもしれません。
- 自分はこの意見や提案を伝える事で何をしたいのだろうか?何が変わって欲しいと考えているのだろうか?
- 自分は意見や提案を受け入れて貰えるような信頼を周りから得られているのだろうか?
- 言い方を変える事で、「権限を行使している」印象を与えないように出来ないだろうか?もしくは自分以外の誰かから伝える働きかけは出来ないだろうか?
とはいえ意見を伝えるだけが解決策ではないので、組織の文化や伝える事のリスクや影響を踏まえて、「伝えるか、別の選択肢を取るか」を考えていければいいのかと思います。
「何かを変えたい時には他にどんな選択肢が考えられるのか?どういう時にどの選択をするのがいいと考えられるのか?」みたいなポイントは以下の記事にまとめておりますので、こちらも合わせてご参照ください。
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