劇的に成果を上げる「戦略的リソース利用法」による勉強計画の立て方

学習/習慣

天才?そんなものは決してない。ただ勉強です。方法です。不断に計画しているということです。

-オーギュスト・ロダン(フランスの彫刻家、「地獄の門」「考える人」作者)

この前から「本当に効果のある勉強法をまとめよう!」ということでやっております。

世の中には色んな学習テクニックがあるので何を信じたらいいのか、混乱してしまう方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

何かを勉強しようと思うのなら

  • 「どうせならちゃんと効果が実証されているテクニックを使った方がいいんじゃないか?」

ということで、色々とまとめていっている次第です。

前回ご紹介した「インターリービング学習」に続いて、今回ご紹介するのは「戦略的リソース利用法」というテクニックです。

今までご紹介してきたテクニックは学習中に使うことで効果を高めてくれるものが多かったんですが、今回の「戦略的リソース利用法」は、主に学習の準備段階で効果を発揮してくれるもの

これはスタンフォード大学の研究チームが、「頑張って学習しても成果が出ないのは、学習前の戦略が十分に立てられていないからでは?」ということで開発したテクニックです。

勉強というと「〇〇時間勉強することが重要だ!」みたいに学習量に目が行きがちですが、効率的に学習するための戦略も重要なんじゃないか、ということですね。

早速まとめていきたいと思います。

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戦略的リソース利用法とは?

「戦略的リソース利用法」はざっくり言えば「リソースを有効活用して効率的に学ぶための計画を立てる」こと。

ちなみにここでいう「リソース」とは、以下のようなものです。

  • 参考書、問題集、学習サイト、資料、勉強が得意な友人、教師など

人、本、データなど、自分が学習したいと思っているテーマを学ぶのに役立ちそうなものはなんでも「リソース」として考えていきます。

つまり、「学習に使えるリソースをどのように使うか?」っていうことを考えた上で、そのリソースを効率的に使う段取りをあらかじめ計画してから学習にとりかかるという感じですね。

「計画を立ててから勉強する」というと割と当たり前のように思うかもしれませんが、意外と抜けがちなポイントなので気を付けていきたいところ。

「実際にどれだけ効果があるテクニックなのか?」という点で参考になるのは、このテクニックの開発者でもあるスタンフォード大学の研究チームが調べたRCTです。

テストを控えた学生を対象に学習成果にどんな影響があるかを調べたところ、以下のような結果になりました。(R

  • このテクニックを使ったグループは、そうでないグループよりも平均4.65%点数が高かった
  • テスト勉強からくるストレスレベルも激減した

驚くべきはこれがたった1週間、1日15分だけ「戦略的リソース利用法」を使うだけでこの効果が得られたということ。

自分の学習についてより内省的に考えるようになり、リソースを効率的に使えるようになることで、結果として成績が上がっていくみたいですね。

成績もそうですが、勉強のストレスが激減するっていうのも非常にありがたいんじゃないでしょうか。

実践のステップ

戦略的リソース利用法の効果がわかったところで、このテクニックを実際に使っていくためのステップをまとめていきたいと思います。

上でご紹介した実験では、以下のステップで学生たちに戦略的リソース利用法に取り組んでもらっています。

  1. 学習成果の設定:今度の試験で希望する成績を書いて「その成績を取ることがどれだけモチベーションになるか」「その成績を取ることがどれだけ重要か」「その成績を取ることにどれだけ自信があるか」を書き出す
  2. 期限設定:試験の日程を1週間後に設定し、そこに向けて準備を進めるよう定期的なリマインダーを送る。
  3. リソースリストアップ:テストに向けて「どのリソースが勉強を促進するか」「なぜそれが有用だと思うか」「それぞれのリソースどのように使う予定か」を考えてリストアップする。
  4. リソースの選択:③の中からテストにどんな問題が出そうかを考えながら、実際に使いたいリソースを最大15個までのリストの中から選択する(テストに出そうな問題を想像することで、どのリソースに重点を置くかを考えられるようになる)。
  5. 選択の検証:選んだ資料が試験準備に役立つと思う理由を考える。
  6. 計画策定:行動選んだ教材を使って「いつ、どこで、どのように学習するか」という具体的かつ現実的な計画を立てる(こうすることで実際に行動に移しやすくなる)。

実験では試験に向けて戦略的リソース利用法を使っているので上のようなステップになりますが、これを少し変えれば他の学習にも使えそうですね。

「そもそも何でそれを勉強したいんだっけ?」「どんなリソースを使えば効率的にそれを学習できるのか?」みたいに、学習前、学習中にメタ認知を効かせまくって学んでいくことが、このテクニックの最大のポイントですね。

また、もう一つのポイントはリソースの数を絞り込むこと。

効率的にリソースを使っていくためには、たくさんリソースがあればいいってわけじゃないですからね。

研究チームは、この点について以下のようにコメントしています。

目標達成は、必ずしもリソースが多ければよいというわけではなく、リソースをいかに効果的に使うかが重要である。

学習教材やサポート、学習環境をどれだけ充実させても、それらを生産的に使わない学生は、これらの資源の多くを無駄にしてしまう。

出典:『Strategic Resource Use for Learning: A Self-Administered Intervention That Guides Self-Reflection on Effective Resource Use Enhances Academic Performance

「どれくらい絞り込めばいいのか?」というところは何とも言えないとことがありますが、上にあるようにどんなに多くても15個程度まで、というのを一つの目安にするのがいいんじゃないでしょうか。

まとめ

ここまでで「戦略的リソース利用法」の効果や実践のステップなどを、スタンフォード大学の研究をもとにまとめて行きました。

今回の内容をざっくりまとめると以下のような感じです。

まとめ
  • 効率的に学習するためには学習前の戦略が重要。これがないといくら勉強量を増やしてもなかなか成果にはつながらない。
  • 戦略的リソース利用法は、「リソースを有効活用して効率的に学ぶための計画を立てる」こと。リソースとは教材・友人・データなど学習に有効活用できるものなら何でもOK。
  • リソースを絞り込み、「そもそも何でこれを勉強したいんだっけ?」などとメタ認知を効かせながら学習すること。

今回の例ではテストに向けての戦略的リソース利用法のステップをご紹介していますが、試験勉強以外の学習はもちろん、仕事など学習意外にも使える考え方なんじゃないかと思います。

スタンフォード大学の研究チームは、論文の最後に以下のコメントを残しています。

教育現場だけでなく、実生活の中でも、目標達成のための戦略がいかに非効率的であるか、また、周囲のリソースをいかに活用するかに気づいていない場面は多く存在する。
利用可能なリソースを戦略的に用いて目標にアプローチすることが、人々に内省を促し、目標達成に大きく貢献する。

出典:『Strategic Resource Use for Learning: A Self-Administered Intervention That Guides Self-Reflection on Effective Resource Use Enhances Academic Performance

確かに目標とかもあまり考えず、何となく初めたけどなかなか成果が出ない!みたいな場面ってよくありますからね(ダイエットとかスポーツとか)。

まあ趣味でやっているようなことにまでしっかり計画を立てていく必要があるのか、というとそうではないと思いますが。

何かしら目標達成したいものがあるのであれば、今回の「戦略的リソース利用法」のようなテクニックを使ってみるのもアリかもしれませんね。

その他いろいろな学習テクニックを以下の記事でまとめているので、こちらも参考にしてみてください。

そんな感じで。

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