「本当に効果のある学習方法ってなんだろう?」というのはなんとも悩ましいテーマですね。
学生でも社会人でも、大なり小なりなんらかの勉強をしている方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
一方で世の中には本当にたくさんの学習テクニックが溢れており、
- 結局のところ何を信じたらいいのかわからない!
みたいに、頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。
学習に関する書籍やらニュースサイトやらYoutubeのようなメディアやら、探せば学習テクニックに関する情報がたくさん出てきますし、その内容もバラエティに富んでいます。
それだけ多くの人が、勉強に頭を悩ませ、「正しい学習方法」を求めているということでしょう。
なぜこれだけ多様な学習方法があり、多くの人が悩んでいるかといえば「ほとんどの人が正しい学習方法を学んできていないから」に尽きるのではないでしょうか。
言われてみればなんとも不思議な話ですが、「学び方の学び方」を教えられることってあまりないですよね。
そんな中で数多ある学習テクニックから、本当に効果のあるものを見極めるのは至難の技。
そういったこともあり、「個人の体験談などではなく効果が実証されている学習テクニックってないんだろうか?」ということで、まとめていきたいと思います。
1つ1つのテクニックを検証してくのは現実的ではないので、「どうせなら科学の世界でお墨付きのテクニックを使った方が効率的でいいのでは?」と思った次第です。
- いろんなテクニックを試しているが、いまいち効果が実感できていない
- 少しでも効率的に確かな知識やスキルを身につけていきたい
そんな方にとって、少しでも参考になればと思います。
なお当記事では各テクニックを簡単に紹介していきますが、それぞれ個別の記事を作成しておりますので、詳細知りたいものがあればそちらをご覧ください。
また、「これらのテクニックを活用した具体的な学習の流れ」を知りたい方は以下の記事を見てみてください!
学習テクニックのまとめ
前提:効果のある学習の共通点は「アクティブ・ラーニング」
まずは大前提として、効果のある学習テクニックに共通するのは「アクティブ・ラーニング」だと言われています。
学習方法としてメジャーな以下のような方法は、あまり効果がないことがわかっています。
- 講義形式の授業
- 本やテキストを何度も読み返す
- 語呂合わせ
- 教科書や本の重要な箇所にハイライトする
ここでいう「アクティブ・ラーニング」は、ディスカッション形式の授業だけではなく、例えば「テストをする」「概念を人に説明する」のように、「頑張って頭を使う」要素が入っているものとお考えいただければいいんじゃないかと思います。
学習に関する研究を行うアーリック・ボーザーさんは著書『Learn Better』で次のように語っています。
学習とは頭を働かせる「活動」という面が強く、積極的に関与するほど学びも深まるということだ。
出典:『Learn Better』
詳細は以下の記事をご覧ください。
学習テクニックの王様「検索練習」
まず押さえておきたいのが、学習テクニックの王様とも呼ばれる「検索練習」です。
当記事でいろんなテクニックを紹介していきますが、面倒なことを考えたくなければこの検索練習に取り組みだけでも十分なんじゃないかと思っています。
検索練習は「テスト効果」とも呼ばれるもので、一言で言えば「なんらかのスキルや知識を、忘れかけたころに意図的に思い出すこと」というもので、その効果はメタ分析でもお墨付き。(R)
というのも人の脳は「苦労して思い出す(思い出そうとする)」ことで、記憶の定着率が高まることがわかっています。
さらに記憶にいいだけではなく、メタ認知能力、学習モチベーション、知識の応用力にも良い影響を及ぼす優れもの。
検索練習に取り組むには、例えば以下の方法があります。
- 問題集
- フラッシュカード
- 「Anki」などのアプリ
その他実践のポイントや詳細のやり方などは以下の記事をご覧ください。
他の人への説明が理解を深める「ファインマン・テクニック」
「ファインマン・テクニック」はノーベル賞を受賞した物理学者リチャード・ファイアマン先生が考案したテクニックで、一言でいえば「物事をわかりやすく説明することを通じて理解を深めていく」というもの。
その裏には「難しい言葉でしか説明できないならそれは物事を理解できていない証拠だ!」というコンセプトがあります。
学習で陥りがちな罠は「わかったつもりになる」こと。
これが問題なのは、「多くの人は理解している(と思っていること)を、それ以上学ぼうとはしない」からです。
本当はわかっていないものを勉強しないままでいれば、いつまでも確かな知識は身につきませんからね。
「自分がどれくらい理解しているのか」を知ることは難しいんですが、ファインマン・テクニックを使って「12歳の子供でも理解できるくらいわかりやすく説明できる」状態を目指していきます。
やってみると中々上手くいかなくて落ち込むことも多いんですが、特に難しい概念をがっつり理解したい時に効果的です。
詳細のやり方やポイントなどは以下の記事をご覧ください。
最強の記憶術「記憶の宮殿」
数ある記憶術の中でも定評があるのが「記憶の宮殿」。
記憶力コンテストの全米チャンピオンであるジョシア・フォアさんが使っていたテクニックとしても有名ですね。
何かを記憶したいときは基本的に検索練習の方が手軽でいいと思っているんですが、一方で検索練習では例えば「アメリカの歴代大統領を全員答えよ」「法律の〇〇10ヵ条を全て答えよ」のように、「一つの問題に対して答えの数が多い」ものを覚えたい時には若干不向きだったりします。
そんな時はこの「記憶の宮殿」の方がやりやすいでしょう。
詳細は以下の記事をご覧ください。
やり方が少々難しいんですが、参考になるような動画も以下の記事にてご紹介しています。
記憶の定着をブーストする「インターリービング学習」
「インターリービング」は「はさみ込む」「交互に配置する」といった意味を持つ単語で、学習におけるインターリービングは、「異なるテーマをごちゃ混ぜにして学ぶこと」こと。
定番の手法である「ブロック練習(一つのテーマを集中的に学習する)」とは真逆の考え方になります。
例えば、英語を学ぶなら以下のようなイメージです。
- 「ブロック練習」:初日は英文法→2日目は単語→3日目はリスニングのように、一つのテーマを集中的に学ぶ
- 「インターリービング学習」:1日のうちに英文法→単語→リスニングとごちゃ混ぜに学ぶ
一見するとめちゃくちゃなやり方に思えますが、2015年に南フロリダ大学が行ったRCTなどで、「ブロック練習よりもインターリービング学習の方が効果的」であることがわかっています。(R)
個人的には「検索練習」と組み合わせて使うことで、記憶への定着を上手くブーストしてくれていい感じなんじゃないかと思っています。
これもまた少々実践のポイントがあるので、詳細は以下の記事をご覧ください。
学習の計画が成果を決める「戦略的リソース利用法」
「戦略的リソース利用法」はざっくり言えば「リソースを有効活用して効率的に学ぶための計画を立てる」こと。
「学習前に計画を立てる」というと当たり前の話のように聞こえるかもしれませんが、意外と抜けがちなポイントなので気をつけたいところ。
「そもそも何でそれを勉強したいんだっけ?」「どんなリソースを使えば効率的にそれを学習できるのか?」みたいに、学習前、学習中にメタ認知を効かせて学んでいくことが、このテクニックの最大のポイントです。
例えばスタンフォード大学のがRCTでは、たった1週間、1日15分だけ「戦略的リソース利用法」を使うだけでも成績の向上や学習に対するストレスレベルの低下が見られました。(R)
もちろん闇雲に計画を立てればいいわけではなくこれにも少々ポイントがあるので、詳細は以下の記事をご覧ください。
その他
そんな感じで、基本的には上にまとめたテクニックを活用いただければいいんじゃないかと思います。
ここからは、補助的に使えるようなちょっとした学習テクニックをまとめていきたいと思います。
「どんなペースで学習を進めればいいのか?」「休憩はやっぱり必要なの?」といったことを知りたい方はぜひご覧ください。
学習効果をブーストする小技集
ポモドーロ・テクニック
「ポモドーロ・テクニック」は、一定間隔で学習と休憩を繰り返すテクニックです。
一定のサイクルで学習することで、「集中力」「モチベーション」「記憶の定着」に効果があると言われています。
ポモドーロ・テクニックの一般的な形は「25分勉強→5分休憩」なのですが、実際の間隔は自分でいろいろ試しながら良いものを探してもらえればいいんじゃないかと思います。
詳細は以下の記事をご参考ください。
集中モード・拡散モード(緩和モード)
勉強というとどうしても「知識やスキルをインプットする」側面ばかり考えがちですが、最終的に使える知識・スキルにしていくためには、「知識を定着させる」ことまで考える必要があります。
それを理解するために重要な点が、「集中モード・拡散モード(緩和モード)」と呼ばれる脳の機能です。
というのも「学んだ知識を記憶に定着させる」というのは、脳が休んでいる時に行われて行くんですよね。
そのためにはぶっ通しで勉強とか徹夜で勉強すればいいわけではなくて意識的に脳をOFFにする必要があるんですが、この辺りの詳細は以下の記事をご覧ください。
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